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曲目解説
第1ステージ W.A.モーツァルト: Regina Coeli(レジナ・チェリ―天の元后)KV108
聖母マリアに御子キリストが復活されたと祝う讃美歌で、モーツァルトは3曲を残していますが、KV108はその最初の曲で、全ての曲が復活という華やかな明るい音楽で構成されてモーツァルトの教会音楽小品の中でも重要な位置をしめる曲です。
曲はちゃんとした4部形式となっていて、当時のナポリ派の教会音楽形式を忠実に残しています。曲全体を通して 歌詞は簡単で「天の女王さまお喜び下さい キリストは復活されました アレルヤ!」と書かれただけで、ほとんどがアレルヤ!アレルヤ!―日本語には適当な訳語はありませんが、しいて言えば 「万歳!」―で全体が占められています。
本来はオーケストラ伴奏ですが、伴奏としては交響的に華々しく、独唱はのびのびと、合唱はこのアリアをしっかりと支え、厳格な対位法は使われていませんが、最後のアレルヤは何と178小節にもおよび合唱と独唱が極めて華やかに歌われ閉じられます。
Ⅰ.アレグロ ハ長調 4/4
Ⅱ.モデラート ヘ長調 3/4
Ⅲ.アダージョ・ウンポコ・アンダンテ イ長調 4/4
Ⅳ.アレグロ ハ長調 2/4
第3ステージ W.A.モーツァルト: Vesperae (ヴェスペレ―証聖識者の為の晩課)KV321
モーツァルトと聞けば、真っ先に頭に浮かぶのは「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」、交響曲ジュピターなどでしょう。病院などで患者さんの気持ちを和らげる癒しの音楽の代表格がやはり軽快なメロディーのモーツァルトです。しかしモーツァルトの声楽曲はわが日本には意外と知られていません。「ヴェスペレ?何それ?」てなものでしょう。
それはモーツァルトの声楽曲の多くの曲が若いザルツブルグ時代に作曲されたもので、それも所属していた教会の専属作曲家であったので、欧米ではポピュラーであっても、キリスト教が主たる宗教でないわが国ではあまり歌われるチャンスが少ないことが原因でしょう。
さて本題のヴェスペレですが、この曲は日本語では「晩課」と訳されています。ますます解らない名前ですが、カトリックの聖務日課で、教会や修道院などで修道士たちが行う最重要日課で日没後に歌われます。モーツアルトの3曲ばかりでなく数多くの有名作曲者の作品が残っています。
テキストは原則的に旧約聖書詩編に基づく五章に新約聖書ルカの福音書マニフィカトを加えて計六章で成り立っています。題名は「証聖職者の為のヴェスペレ」となっていて「司教でない聖人」の祝日に歌われます。
曲は6部構成で、
Ⅰ.ディクシット(主は言われる)アレグロ・ヴィヴァーチェ ハ長調 4/4
Ⅱ.コンフィテボル(主に感謝する)アレグロ ホ短調 3/4
Ⅲ.ベアトゥス・ヴィル(幸いである)アレグロ 変ロ長調 4/4
Ⅳ.ラウダーテ・プエリ(主のしもべ達よ、ほめたたえよ)ヘ長調 2/2
Ⅴ.ラウダーテ・ドミヌム(主をたたえまつれ)アレグロ イ長調 3/4
Ⅵ.マニフィカト(主をあがめ)アダジオ・マエストーソ ハ長調 4/4
ティンパニを交えて壮麗に始まり、ヴァイオリンの華やかな動きと独唱・合唱が交互に歌われ華やかな音楽要素をふんだんに駆使し、充実した讃美で締めくくります。
小笠原 康二