湘南アマデウス合唱団

曲目解説

第21回定期演奏会で演奏する3曲をご紹介します。解説は、下記リンクからダウンロードして頂けます。
PDF形式データ

W.A.モーツァルト: Inter natos mulierum KV72(74f)
「女の生んだ者の中で」
モーツアルトが1771年、第一回イタリア旅行から帰ってから初めての行事として「洗礼者ヨハンネスの日」(6月24日)のために書かれたものですが、モーツアルトが少年時代大好きだったという同じ名前のヨハンネス神父がゼーオンの修道院に居て、その神父のために書かれたというのが現在の定説となっています。
カトリック教会で行われるミサでは、神に供える物品(献金)を捧げる時間がありますが、その数分間に歌われる奉納唱の一つにこの曲が歌われます。
歌詞は新約聖書のマタイ伝第11章 第10・11節とヨハネ伝第1章 29節から採られています。キリスト教では、イエスが生まれる前にその道を整える役目が洗礼者ヨハネとされていることから、歌詞は「女より生まれし者の中で、我らを荒野から脱出して主への道を開いた洗礼者ヨハネほど偉大な人はいない」という内容になっています。
曲は長い前奏のあと行進曲風に弾むようなリズムの合唱が入ります。「Ecce Agnus Dei」見よ、神の子羊(キリスト)が長い音符で歌われ、「Joanne Baptista」洗礼者ヨハネの名前が巧みな強弱法で反復し強調される内容になっています。

*注
ケッヘル番号の後に(カッコ)付きで振られている番号はケッヘル―アインシュタイン番号と言います。当初モーツアルトの作品には研究者ケッヘルがケッヘル番号を付けましたが、その後時代検索を行いアインシュタインがより現実的に近い番号を振り直し括弧に示したものです。

W.A.モーツァルト: Sancta Maria, mater Dei KV273
「神の御母聖マリア」
1777年9月9日ザルツブルグで作曲されました。題名から見ても9月12日がマリアの聖名祝日なのでその日のために書かれたものと思われますが、この時モーツアルトは就職活動のためのパリへの大旅行を目前にしており、旅立ちに先立って旅の安全と命を守ってくださるよう聖母マリアにお祈りする個人的な意味も込められていると言われています。
モーツアルト研究で第一人者と言われるアインシュタインはこの曲を次のように述べています。「この素晴らしい曲は、最初の『深い淵から』KV93 1771年作曲と後日の名曲『Ave verum corpus』KV618との3曲の中間に位置していて、いずれもソロが入らない4部合唱+弦楽合奏+オルガンという編成で一致している。リード的、単純性で深い意味を持っている」と述べて、モーツアルトの感情の純粋さを絶賛しています。

*注
以上の2曲はミサの間に演奏される小曲ですが、本来弦楽合奏とオルガンで伴奏されますが、今回は、諸般の事情もあり、ピアノ伴奏で行います。

W.A.モーツァルト: ミサ ハ長調 KV337「荘厳ミサ」
KV337は1780年3月作曲の日付が入っており、昨年演奏した「戴冠式ミサ」KV317から見て丁度1年後に出来たものです。「戴冠式ミサ」が美しい旋律があちこちに配されていてあまりに有名なので、陰に隠れた存在となって演奏会の機会はあまり多くありませんが、楽器編成やその規模すべてで「戴冠式ミサ」と双璧をなすもので、他に「ミサ・ロンガ」「荘厳ミサ」「ミサ・ソレムニス」の別名もあるほど名前にふさわしい名曲で、後述しますが、モーツアルトの死後ウィーンでよく演奏されました。
この頃のザルツブルグ大司教コロレードの命令で、「ミサは45分以内」とされ、モーツアルトのミサ曲はどれも30分以内のいわばミサ・ブレビス(短いミサ)の部類になっています。ここではやはりグローリアとクレドが簡略化されてはいるものの、祝祭的な典礼の性格とそれに合わせた楽器編成で質の高いミサ曲となっています。
モーツアルトはこの曲を最後として、以後ウィーンに移住してしまったので、ザルツブルグで作曲された最後のミサ曲となりました。
この曲は後の時代、ウィーンの宮廷礼拝で名曲としてよく演奏されたようです。その証明として、一説にモーツアルトを毒殺したと言われるアントニオ・サリエリが演奏時に注釈を書き加えたこのミサ曲KV337の楽譜がウィーンに残されています。
モーツアルトはザルツブルグ時代に10のミサ曲を作曲しましたが、その大半にハ長調が多く用いられているので、作品番号がないとどの曲か判かりません。ハ長調という調性は、他の一切の調子記号を拒むとされ、その堂々たる音調のために祝祭性の高いミサ曲に好まれていますが、同時に祝祭性にふさわしい楽器としてはトランペットが多く用いられました。その演奏上便利な調号として多く採用されたとも言われています。

小笠原 康二

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